「焼く・揚げる」は糖化に悪い?調理法とAGEsの誤解を整理する

本記事は詳細な解説です。
要点をサクッと知りたい方は、こちらの入門用の要約記事をご覧ください。

糖化ケアというと、
焼く・揚げる・焦がすとAGEsが増えるから、できるだけ避けたほうがいい
と聞いたことありませんか?

たしかに、食品中のAGEsは調理法によって増減します。
AGEsとは、糖とタンパク質が反応してできる「終末糖化産物」のことです。
特に、焼く・揚げる・グリルするなどの高温乾燥加熱では、
食品中AGEsが増えやすいとされています引用1

そのため、糖化ケアの対策として、
「焼く・揚げるより、生・茹で・蒸し・低温調理のほうがよい」という考え方は、
メディアやSNSなどでも広く紹介されていますが、
実は最新研究ではその考え方が見直されています。

ただ、ここには誤解されやすい重要なポイントがあるんです。
それは、食品中AGEsが増えることと、
体内の糖化ストレスが増えることは、
必ずしも同じではないということです。


  食品中AGEsが増えることと、体内の糖化ダメージは同じではない

はじめに、AGEs(終末糖化産物)は、糖とタンパク質などが反応してできる物質です。

健康や美容で注目されている糖化は、糖とタンパク質の反応です_フラメルのコラム_フラコ

そして食品中AGEsは、高温・乾燥・長時間加熱・焦げ目のある調理で増えやすいとされています。
ここだけを見ると、「AGEsが多い調理法は糖化に悪い」と考えたくなるかもしれません。

ただし、大切なのはその先です。

食品中AGEsを多く含む食事をとると、
血中AGEsや尿中AGEsに変化が出ることはありえます引用2,引用3

しかし、血中AGEsが変化することは、
体内組織に糖化ダメージが蓄積することと必ずしも一致するとは限らないといわれています。


  食事中AGEsは、一時的に循環して排出される可能性がある

2022年、肥満の人を対象にした比較試験では、
高AGE食によって血中・尿中の一部AGEsが増加したものの、
インスリン感受性、血管機能、炎症、脂質プロファイルなどへの明確な悪影響は限定的でした引用2

食事中のAGEsは一部が吸収されても、多くは一時的に循環した後、尿などから排出されることが指摘されており、体内の糖化ストレスや健康被害に直結するとは言えないと示されています引用2

また、2019年のレビューでも
多くの食事性AGEsは高分子量であるため腸管で吸収されず、
大腸に運ばれ、そこで大腸菌による代謝を受けるとされており、
最近の研究では、AGEsが腸内細菌叢の構成や、
むしろ短鎖脂肪酸などの有益な微生物代謝産物の生成に及ぼす影響も調査されています引用3

さらに、2024年のレビューでは、
食事由来のAGEsなどの糖化関連化合物と有害な健康影響との因果関係について、
現時点で説得力ある証拠はないと整理されています引用4

つまり、「血中AGEsが一時的に増えた」という話と、
「体内に糖化ダメージが蓄積した」という話は、分けて考える必要があるといえます。

そのため、少なくとも現時点では、
「食品中AGEsが多い調理法=体内の糖化ストレスを増やす悪い調理法」
と断定する十分な根拠は確立されていないのです。

食品中AGEsは一部が吸収されますが、多くは排出される可能性があります。食品中AGEsと体内糖化は区別して考える必要があります。この内容を説明した図です。

  加熱調理か非加熱調理かは、AGEsではなく栄養面で選ぶ

さらに、栄養面で考えてみても、加熱調理が悪いと断言するのはもったいないといえます。

たとえば加熱調理では、
食材によっては細胞壁や食品マトリックスが壊れ、
成分が出やすくなったり、消化吸収しやすくなったりします。

トマトをオリーブオイルと一緒に調理すると、
リコピンの吸収が高まることが報告されています引用5

また、にんじんのカロテノイドや、豆類のタンパク質・でんぷんは、
加熱調理によって消化・吸収されやすくなることがあります引用6, 引用7

一方で、非加熱調理や低温調理にも利点があります。
熱に弱いビタミンや香り成分を保ちやすい場合があり、食材の鮮度や食感を活かせることもあります。

つまり、「焼く・揚げる=悪」「生・低温=正解」ということではなく、
その食材の栄養をどう活かすかで考えることが大切といえます。


  糖化ケアのために調理法を制限しすぎない

ここまで見てきたように、糖化ケアを目的として、焼き目や揚げ物を過度に避ける必要があるかというと、現時点では慎重に考えるべきです。

食品中AGEsは調理法で増減します。
しかし、食事中AGEsが体内の糖化ストレスや健康被害に直結するかについては、
十分な因果的根拠が確立しているとは言いにくい状況です引用2,引用4

そのため、フラメルでは糖化ケアの目的だけで調理法を大きく制限する必要はないと考えています。

調理法は、AGEsだけでなく、
栄養成分の利用しやすさ、消化性、食材の特徴、食品安全性、食事全体のバランス、美味しさまでを含めて考えることをおすすめします。


  糖化ケアで本当に重視したいこと

糖化ケアで大切なことは、体内でAGEsが新たに増えすぎないようにすることです。
血糖値の管理は、その重要な対策の1つです引用8, 引用9

具体的には、血糖値スパイク、平均血糖、HbA1c、インスリン抵抗性、内臓脂肪、運動習慣などが重要です。
始めやすい運動習慣については、こちらの記事で紹介しています。

また、糖化に関わる体内システムにアプローチする機能性成分も研究されています。
ただし、成分選びも「抗糖化」という広告文だけで判断するのではなく、研究に基づいて慎重に見る必要があります。

  まとめ

繰り返しとなりますが、食品中AGEsは調理法で増減します。
しかし、それが体内の糖化ストレスや健康被害に直結するとは限りません。

調理法は、AGEsの量ではなく、食材の栄養をどう活かすかで選ぶ。

そして糖化ケアは、血糖管理、適度な運動、研究に基づいた成分選びを中心に考える。

これが、現時点では最もバランスのよい考え方です。

結論:食品中AGEsが増えることと、体内で糖化が進むことは同じではありません。

※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。

  参考文献

  1. Uribarri J, Woodruff S, Goodman S, et al. Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet. J Am Diet Assoc. 2010;110(6):911-16.e12. doi:10.1016/j.jada.2010.03.018
  2. Linkens AM, Houben AJ, Niessen PM, et al. A 4-week high-AGE diet does not impair glucose metabolism and vascular function in obese individuals. JCI Insight. 2022;7(6):e156950. Published 2022 Mar 22. doi:10.1172/jci.insight.156950
  3. Snelson M, Coughlan MT. Dietary Advanced Glycation End Products: Digestion, Metabolism and Modulation of Gut Microbial Ecology. Nutrients. 2019;11(2):215. Published 2019 Jan 22. doi:10.3390/nu11020215
  4. Hellwig M, Diel P, Eisenbrand G, et al. Dietary glycation compounds – implications for human health. Crit Rev Toxicol. 2024;54(8):485-617. doi:10.1080/10408444.2024.2362985
  5. Fielding JM, Rowley KG, Cooper P, O’ Dea K. Increases in plasma lycopene concentration after consumption of tomatoes cooked with olive oil. Asia Pac J Clin Nutr. 2005;14(2):131-136.
  6. Benítez-González AM, et al. Towards more sustainable cooking practices to increase the bioaccessibility of colourless and provitamin A carotenoids in cooked carrots. Food & Function. 2024.
  7. Thermal Processing of Legumes. Royal Society of Chemistry.
  8. Yagi Y. Yonei Y. Glycative stress and anti-aging: 13. Regulation of Glycative stress. 1. Postprandial blood glucose regulation. Glycative Stress Research. 2019; 6 (3): 175-180
  9. Colberg SR, Sigal RJ, Yardley JE, et al. Physical Activity/Exercise and Diabetes: A Position Statement of the American Diabetes Association. Diabetes Care. 2016;39(11):2065-2079. doi:10.2337/dc16-1728

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