健康や美容のため、プロバイオティクスを取り入れることも身近になっています。
たとえば、乳酸菌は種類によって腸内環境の改善や免疫力アップ、美肌効果、睡眠の質向上まで、様々な機能性が期待できるといわれていますよね。毎日ヨーグルトを食べたり、乳酸菌サプリメントを飲んだりしている方も多いのではないでしょうか?
「生きて腸まで届く乳酸菌」という商品も多くありますが、実は「死んだ菌」も機能性を持っていることがわかってきています。今回のフラコは、「生菌」と「死菌」それぞれの特徴をまとめましたので、食品やサプリ選びにお役立てください!

まずは基本的な言葉の定義から。
プロバイオティクス (生菌)
・「適切な量を摂取した際に、宿主の健康に有益な効果をもたらす生きた微生物」
(国連食料農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)によるガイドライン引用1を和訳)
・ヨーグルトや納豆などの食品、一部のサプリメントに含まれている生きた菌 (生菌) のこと
パラプロバイオティクス (死菌)
・「適切な量を (経口または局所に) 摂取した際に、ヒトまたは動物に利益をもたらす死菌または菌抽出物」
(Taverniti, V., S. Guglielmetti, 2011, Genes Nutr.引用2を和訳)
・健康食品やサプリメントに含まれている熱処理などによる死んだ菌 (死菌) のこと
・「パラ (para)」というのは「並んだ」という意味の接頭語で、パラレルワールドのようにプロバイオティクスと並行した概念
「生きた菌って人によって合う合わないとかないのかな?」
「え、死んでる菌なのに効果があるの…?」
などいろいろ気になってくるかもしれません。
最近のさまざまな研究で、パラプロバイオティクスにも、プロバイオティクスに負けないくらい素晴らしい効果があることが分かってきたんです!
◆ 生きた菌vs死んだ菌:マウス実験で明らかになった死菌パワー
まずはマウスでの研究結果をご紹介します。
2011年、日本の研究チームが発表した「Comparison of the Immunomodulatory Effects of Live and Heat-killed Lactobacillus pentosus S-PT84」という研究では、京都の漬物から採取したLactobacillus pentosus S-PT84という乳酸菌を使い、生きた状態 (生菌) と熱処理後 (死菌) を経口投与して免疫反応を評価しました引用3。
その結果、生菌と死菌はどちらもNK細胞を同程度活性化すること、IL-12やIFN-γなど一部のサイトカイン産生能は死菌の方が有意に誘導効果が高いことが示されました。
死菌でも効果を発揮することや、むしろパワーアップする可能性があるのはおもしろいところです。
生菌と死菌での細胞壁構造の違いなどが関与しているという議論がなされています。
◆ 死菌サプリ:ヒト実験でも死菌パワーを確認!!
もちろんヒトを対象とした実験でも、死菌のパワーは確認されています。
2024年10月に発表された研究で、こちらも日本のチームによるものです (さすが乳酸菌研究が進んでる日本👏)。
本研究は、定期試験前という学業ストレスを受けている大学生を対象に、熱処理菌 (死菌) Enterococcus faecalis EC-12をサプリメント形状で経口摂取してもらい、ストレスによる胃腸の不快感と腸内細菌叢に与える影響を調べました引用4, 5。
その結果、死菌EC-12を摂取した被験者では腹痛や胃の不快感がプラセボ群と比較して有意に軽減され、さらに腸内代謝物(特にトリプタミン)の変化が観察されたそう。トリプタミンは腸内細菌によって生成されるトリプトファン代謝物で、胃腸運動や粘液分泌を促進する機能があります。本研究において糞便中のトリプタミン濃度が消化器症状との関連が認められたことから、パラプロバイオティクスである死菌EC-12の摂取が腸内細菌の代謝経路を変化させることでヒトの消化管運動を調節し、腹部不快感を軽減することが明らかになりました。
テスト前の緊張やストレスによる胃腸のごろごろを軽減できる可能性があるなんて、うれしいですね!
◆ 生菌?死菌? あなたに合った「菌活」を始めよう
「あれ?じゃあ結局、死菌のほうがいいの?」という風に感じるかもしれません。
生菌、死菌、どちらがいいかは目的や体質によって変わってきますので、まとめていきます!

○ プロバイオティクス (生菌)
- ヒト体内で有用な代謝物を生み出したり、腸内環境のバランスを整えたりする力を持つ
- ヨーグルトやキムチ、漬物などの発酵食品や、「生きて腸に届く」サプリメントなどで摂取できる
- 生菌なので比較的熱や酸に弱く賞味期限が短いため、早めに食べきりましょう
- 積極的に腸内環境を改善したい方にオススメ
- 体調や体質によって合わない場合もあるので、その場合は他の種類の乳酸菌に切り替えてみましょう
○ パラプロバイオティクス (死菌)
- 腸内細菌のエサとなったり、体内に吸収されることでカラダ本来の機能を活性化する力を持つ
- 乳酸菌入りの食品やサプリメントなどで摂取できる
- 安定性が高く保存・加工がしやすいため、さまざまなタイプの食品を選べる
- 効果がおだやかで体感しにくいかもしれないので、長いお付き合いと考えるのがオススメ
また、今回はふれませんが、腸活という観点では、ご自身の腸内細菌が元気に活動できるように「プレバイオティクス」と呼ばれるオリゴ糖や食物繊維などを積極的にとっていただくこともオススメです。
乳酸菌は菌の種類や株、生菌/死菌などの違いでさまざまな異なる機能性を持っていますので、
ご自身の目的や体質、体調を考慮し、お気に入りの乳酸菌で健康と美容を手に入れましょう!
そうそう、腸内細菌についてはこんなコラムも書いてます。
あなたの腸があなたを作っている!? ~腸内フローラが注目された理由を振り返ってみる~
お役に立ったでしょうか?
また次回も、ふらっとフラコにお越しください!
◆ 引用文献
- FAO/WHO (2002) Guidelines for the evaluation of probiotics in food.
- Taverniti V, Guglielmetti S. Genes Nutr. 2011. 6(3):261-74. doi: 10.1007/s12263-011-0218-x.
- Izumo T. et al. Journal of Health Science. 2011. 57(3):304-310. doi: 10.1248/jhs.57.304.
- Li J. et al. Benef Microbes. 2024. https://doi.org/10.1163/18762891-bja00046.
- パラプロバイオティクス(殺菌乳酸菌 EC-12)の摂取により緊張に伴う消化器症状の不調を予防 (4のプレスリリース)
※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題がある場合は、医療専門家にご相談ください。

