「糖化が気になるなら、甘いものをやめるべき?」
糖化という言葉を聞くと、
そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
もちろん、糖の摂りすぎには注意したいところです。
しかし、糖は私たちの体にとって欠かせないエネルギー源でもあります。
だからこそ、フラメルでは「糖化対策≠糖をゼロにすること」と考えています。
大切なのは、糖化がどのような流れで起こるのかを知り、それぞれの段階に合わせて対策を考えることです。
糖化は、糖とタンパク質が反応するだけの単純な現象ではありません。
糖とタンパク質が出会い、反応が進み、糖化タンパク質(AGEs)ができ、その一部は分解・排出され、残ったものが体へ影響を及ぼします。
この「流れ」を知ると、糖化対策も整理しやすくなります。
この記事では、糖化を4つの段階に分けて、その基本的な考え方を紹介します。

糖化対策は「流れ」で考えると分かりやすい
糖化というと、「糖とタンパク質が反応すること」と説明されることがよくあります。
もちろん、それは間違いではありません。
しかし実際には、糖化は反応が起こる瞬間だけではなく、その前後も含めた一連の流れとして進んでいきます。
例えば、食後に血糖値が高い状態が続くと、糖化は次のような流れで起こりやすくなります。
① 糖とタンパク質が出会う
食事で吸収された糖は血液中を流れ、全身へ運ばれます。
血液中の糖が多い状態では、タンパク質と出会う機会も増えていきます引用1。
② 糖化反応が進み、糖化タンパク質(AGEs)ができる
糖の一部は、体内で反応性カルボニル化合物と呼ばれる反応性の高い物質へ変化することがあります引用1。
こうした物質が増えると糖化反応が進みやすくなり、
AGEs(Advanced Glycation End Products:終末糖化産物)が作られやすくなります。
③ できたAGEsの一部は分解・排出される
体には、糖化によって変化したタンパク質を認識し、分解・排出する仕組みがあります。
分解されたり、腎臓などを介して体外へ排出されたりすることで、AGEsは少しずつ処理されています引用2。
ただし、すべてのAGEsが容易に分解・排出されるわけではありません。
④ 残ったAGEsは蓄積し、体への負担につながることがある
一方で、十分に分解・排出されなかったAGEsは体内に残ります。
こうしたAGEsは、細胞表面にあるRAGE(AGE受容体)などに認識され、炎症や酸化ストレスに関わる反応を引き起こすことがあります引用3。
炎症や酸化ストレスは本来、体を守るために必要な仕組みですが、過剰になると体への負担につながる可能性があります。
つまり、糖化対策は「糖化を防ぐ」だけではなく、その後の流れまで含めて考えることが大切なのです。
この流れを整理すると、糖化対策は4つの段階に分けられます。
- 糖とタンパク質を出会わせない
- 糖とタンパク質を反応させない
- できたAGEsをためない
- AGEsによる体への負担を大きくしない
この4つを知っておくと、糖化対策に関するさまざまな情報が、「糖化のどの段階に働きかけているのか」という視点で整理できるようになります。

ステージ1:糖とタンパク質を、出会わせない
糖化のスタートは、糖とタンパク質が出会うことです。
糖もタンパク質も体に必要な存在なので、完全に出会わなくすることはできません。
そこで重要になるのが、「糖が多い状態を長く続けない」という考え方です。
▫️血糖値が高い時間を短くする
食事をすると、糖質はブドウ糖などに分解され、血液中へ吸収されます。
これはごく自然な生理現象です。
一方で、食後に血糖値が急激に上昇し、高い状態が長く続くと、血液中には通常より多くの糖が存在することになります。
すると、その分だけタンパク質と出会う機会も増え、糖化反応が起こりやすい環境になります。
そのため、糖化対策では「血糖値をできるだけ上げない」だけではなく、血糖値が高い時間を長くしないことも大切になります。
▫️毎日の工夫が糖化対策につながる
血糖値の変動は、日々の生活習慣によって変わります。
例えば、
- タンパク質や野菜から先に食べる
- 糖質だけの食事を避ける
- よく噛んで食べる
- 食後に10〜15分ほど歩く
- 適度な運動習慣を続ける
こうした積み重ねは、食後の血糖値の急上昇を緩やかにすることにつながります。
もちろん、糖を極端に制限する必要はありません。
糖は脳や筋肉など、多くの組織で重要なエネルギー源として利用されています。
そのため、糖を悪者にして避けるのではなく、
糖とタンパク質が出会いやすい環境を減らすことが、糖化対策の第一歩となります。

ステージ2:糖とタンパク質を、反応させない
糖とタンパク質が出会ったとしても、すぐに糖化タンパク質ができるわけではありません。
糖化には、「反応が進みやすくなる段階」があります。
▫️糖は少しずつ姿を変えていく
ブドウ糖などの糖は、普段はエネルギー源として利用されています。
しかし体内では、糖代謝の過程や酸化ストレスなどの影響を受けることで、ごく一部の糖が反応性カルボニル化合物へ変化することがあります。
代表的なものとして、
- メチルグリオキサール(MGO)
- グリオキサール(GO)
- 3-デオキシグルコソン(3-DG)
などが知られています。
これらは通常の糖よりもタンパク質と反応しやすく、AGEsの生成を促進する要因のひとつと考えられています。
もちろん、反応性カルボニル化合物は健康な人の体内でも日常的に作られています。
重要なのは、「作られること」ではなく、「必要以上に増えすぎない状態を保つこと」です。
▫️糖化は血糖値だけでは説明できない
糖化対策というと、血糖値が注目されがちですが、
糖化を仕組みから考えると、「糖がどのような状態で存在しているか」も重要です。
例えば、酸化ストレスが高まると、反応性カルボニル化合物の産生にも影響することが報告されています。
酸化と糖化がセットで対策されるのはこのためです。
つまり、糖化は血糖値だけを対策すればよい現象ではなく、体内環境とも深く関わっているのです。
そのため、食事だけでなく、適度な運動や十分な睡眠など、生活習慣全体を整えることも糖化対策につながります。
糖化対策では、糖が反応しやすい状態をつくらないことも重要です。

ステージ3:できたAGEsを、ためない
糖化対策といえば、「そもそも糖化を起こさないこと」に意識が向きがちです。
では、一度AGEsができてしまったら、もう対策はできないのでしょうか?
実は、そうとは限りません。
体には、糖化によって変化したタンパク質を認識し、一部を分解・排出する仕組みが備わっています。
そのため糖化対策では、「作らせないこと」だけでなく、「できたAGEsをため続けないこと」も重要な段階になります。
▫️AGEsは少しずつ処理されている
私たちの体をつくるタンパク質は、一度作られたら一生そのまま残るわけではありません。
多くのタンパク質は、日々合成と分解を繰り返しています。
糖化したタンパク質も例外ではなく、
一部は細胞内で分解されたり、細胞外で処理されたりしながら、最終的に体外へ排出されます。
つまり、体の中では
「AGEsができる」ことと同時に、
「AGEsを処理する」ことも起こっているのです。
▫️タンパク質によって蓄積しやすさは異なる
ただし、すべてのタンパク質が同じ速さで入れ替わるわけではありません。
例えば、肌のハリを支えるコラーゲンは比較的入れ替わりがゆっくりなことが知られています引用4。
そのため、一度糖化した影響が長く残りやすく、AGEsも蓄積しやすいと考えられています。
逆に、入れ替わりの速いタンパク質では、糖化したものも比較的処理されやすくなると考えられます。
▫️「ため込みにくい体」を目指す
残念ながら、AGEsを完全になくすことはできません。
大切なのは、作られたAGEsを必要以上にため込まないことです。
そのためには、
- 適度な運動
- 十分な睡眠
- バランスのよい食生活
- 腎機能を含めた全身の健康を保つこと
など、体の代謝機能を維持する生活習慣も重要になります。
糖化対策では、できたAGEsをため込みにくい状態を保つことも重要な段階といえます。

ステージ4:AGEsによる、体への負担を大きくしない
AGEsは、ただ蓄積するだけではありません。
体の中では、AGEsを認識するさまざまな仕組みが働いています。
その代表的なものが、RAGE(Receptor for Advanced Glycation End Products)と呼ばれる受容体です。
▫️RAGEは本来必要な仕組み
RAGEは、AGEsだけでなく、体内で起こるさまざまな変化を感知する受容体として知られています。
本来は、体を守るためにも必要な仕組みのひとつです。
しかし、AGEsが過剰になると、RAGEを介したシグナルが強くなり、炎症や酸化ストレスに関わる反応も活発になることがあるのです引用3。
▫️炎症も酸化も「悪者」ではない
炎症という言葉には、あまり良いイメージがないかもしれません。
しかし、炎症は細菌やウイルスから体を守ったり、傷ついた組織を修復したりするために欠かせない反応です。
酸化ストレスも同様で、私たちの体では日常的に発生しており、正常な生命活動にも関わっています。
つまり、炎症や酸化そのものが悪いわけではありません。
問題となるのは、それらが必要以上に続いたり、過剰になったりすることです。
▫️糖化・炎症・酸化ストレスは影響し合っている
現在では、糖化、炎症、酸化ストレスは、それぞれ独立した現象ではなく、お互いに影響し合いながら進行すると考えられています引用3。
そのため糖化対策では、AGEsを減らすことだけでなく、炎症や酸化ストレスを必要以上に高めないことも重要になります。
食事や運動、睡眠などで体全体のコンディションを整えることは、この段階の糖化対策にもつながると考えられます。
糖化対策では、AGEsによる炎症や酸化ストレスを過剰にしないことも重要といわれています。

まとめ|糖化は「4つの段階」で考える
糖化対策というと、「甘いものを控えること」を思い浮かべる方も多いかもしれません。
しかし、糖化は糖とタンパク質が反応して終わる現象ではなく、その後の分解・排出や、炎症・酸化ストレスまで含めた一連の流れとして考えることが大切です。
この記事では、糖化を次の4つの段階に分けて紹介しました。
- ステージ1 糖とタンパク質を出会わせない
- ステージ2 糖とタンパク質を反応させない
- ステージ3 できたAGEsをためない
- ステージ4 AGEsによる体への負担を大きくしない

この4つの段階を知っておくと、糖化対策に関する情報を「糖化のどこに働きかけているのか」という視点で整理できるようになります。
糖化を必要以上に怖がるのではなく、仕組みを理解し、
それぞれの段階に合わせた対策を積み重ねることが、無理なく続けられる糖化対策につながります。
今後は、それぞれのステージについても、より詳しい仕組みや研究報告も交えながら紹介していきます。
こちらもぜひ、あわせてご覧ください。
※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。
参考文献
- Chen, Chun-Yu et al. “Advanced Glycation End Products in the Skin: Molecular Mechanisms, Methods of Measurement, and Inhibitory Pathways.” Frontiers in medicine vol. 9 837222. 11 May. 2022, doi:10.3389/fmed.2022.837222
- Fotheringham, Amelia K et al. “Advanced Glycation End Products (AGEs) and Chronic Kidney Disease: Does the Modern Diet AGE the Kidney?.” Nutrients vol. 14,13 2675. 28 Jun. 2022, doi:10.3390/nu14132675
- Rungratanawanich, Wiramon et al. “Advanced glycation end products (AGEs) and other adducts in aging-related diseases and alcohol-mediated tissue injury.” Experimental & molecular medicine vol. 53,2 (2021): 168-188. doi:10.1038/s12276-021-00561-7
- Verzijl, N et al. “Effect of collagen turnover on the accumulation of advanced glycation end products.” The Journal of biological chemistry vol. 275,50 (2000): 39027-31. doi:10.1074/jbc.M006700200





