夏に「免疫力が下がる」と感じるのはなぜ?暑さ・睡眠・食事から考える夏の体調管理

暑い日が続くと、
「なんとなくだるい」
「疲れが抜けない」
「体調を崩しやすい気がする」

そんなふうに感じることはありませんか?

夏になるとよく聞くのが、
「暑さで免疫力が下がる」という話。

でも、夏になったからといって、誰もが一律に「免疫力が下がる」とは限りません!

そもそも免疫は、自然免疫や獲得免疫、炎症反応など、いくつもの仕組みが連携して働く複雑なシステムです。

一方で、強い暑さや睡眠不足、食欲低下といった夏特有の環境や生活の変化が、免疫の働きや体調に影響する可能性があります。

そこで今回は、「夏と免疫」の関係を丁寧に整理することで、夏の体調管理の参考にしてもらえればと思います。


夏になると、本当に「免疫力」は下がる?

結論からいうと、

「夏になる=免疫力が下がる」とネガティブに考えるのは正確ではありません。

というのも、免疫は、ただ強ければよいものではないからです。

病原体から体を守る働きがある一方、免疫反応が過剰になれば炎症やアレルギー、自己免疫疾患などにつながることもあります。

そのため研究では、「免疫力」というひとつの能力よりも、

  • どの免疫細胞がどう変化したか
  • 炎症に関わる物質がどう変化したか
  • 感染に対する防御反応がどう変わったか

などを個別に調べます。

夏に注目したいのも、単純な「免疫力の低下」ではなく、暑さや生活環境の変化によって、免疫を含む体の調節機能に負担がかかるということです。

免疫力については、こちらのコラムにもまとめています。


① 強い暑さは、体にとって大きなストレス

真夏の暑さの中では、私たちの体は汗をかいたり皮膚の血流を増やしたりしながら、体温を一定に保とうとします。

つまり、暑い環境にいるだけでも体はせっせと調節を続けています。

WHOは、長時間の高温環境が身体に蓄積的なストレスを与え、熱疲労や熱中症だけでなく、心臓や腎臓などにも負担をかけるとしています。[1]

さらに近年は、暑熱ストレスと炎症・免疫反応の関係も研究されています。

2025年に健康な成人32人を対象として行われた研究では、40℃・湿度55%という非常に厳しい環境に8時間さらされた際、炎症関連の指標などに変化がみられました。また、十分に水分を摂取した条件では、それらの変化の一部が小さくなりました。[2]

もちろん、これは日常生活よりかなり過酷な条件で行われた実験です。

「水を飲めば免疫力が上がる」という意味ではありません。

ただ、暑さそのものが身体的なストレスになり得ること、そして夏の体調管理ではまず暑熱と脱水を避けることが大切だと考える材料にはなります。

夏のポイント

  • 暑さを我慢しすぎない
  • エアコンなどを適切に使う
  • のどが渇く前から、こまめに水分をとる
  • 暑さ指数(WBGT)や熱中症警戒情報も活用する

なお、エアコンは「設定温度」よりも、実際の室温を見ることが大切です。

環境省も、温湿度計などで室内環境を確認しながらエアコンを適切に使用することを勧めています。[3]


② 寝苦しい夏。睡眠不足と免疫には関係がある

暑い夜に、

「なかなか寝つけない」
「夜中に何度も目が覚める」

という経験がある方も多いのではないでしょうか。

睡眠と免疫には、密接な関係があります。

ただし、

「眠っている間に免疫細胞を回復させる」

とだけ説明するのは少し単純すぎます。

現在の研究では、睡眠と免疫はお互いに影響し合う関係にあると考えられています。

睡眠中にも免疫細胞やサイトカインなどは一定のリズムで変化し、反対に、感染や炎症が起きたときには睡眠のパターンも変化します。

2024年のレビューでは、慢性的な睡眠の乱れは炎症反応の変化や感染リスクの上昇と関連することが整理されています。[4]

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、個人差はあるものの6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。[5]

夏のポイント

  • 寝室も無理に暑さを我慢しない
  • エアコンや除湿を使って眠りやすい環境をつくる
  • 就寝直前まで強い光やスマートフォンを見続けない
  • 「何時間寝たか」だけでなく、朝に休めた感覚があるかにも注目する

暑い夏こそ、睡眠は削らないようにしたいところです。


③ 「冷たいもの」より気をつけたい、夏の食事の偏り

以前は、

「冷たい飲みものを飲むと腸が冷える」
「腸が冷えると免疫力が落ちる」

といった説明を目にすることもありました。

しかし、夏の体調管理を考えるうえで、冷たい飲みものそのものを悪者にする必要はありません。

それよりも気をつけたいのが、暑さによる食欲低下と食事の偏りです。

そうめんだけ。
パンだけ。
冷たいジュースだけ。

暑くなると、ついそんな食事で済ませてしまう日もあります。

厚生労働省では、健康的な食生活の基本として、主食・主菜・副菜を組み合わせることを勧めています。[6]

毎食完璧にそろえる必要はありませんが、

「今日は主菜が少ないな」
「野菜をほとんど食べていないな」

と、1日単位で振り返るだけでも十分です。

食欲が落ちている日は、

  • 冷ややっこ
  • 納豆
  • 野菜を入れた汁物

など、食べやすいものを少しずつ組み合わせてみるのもよいでしょう。


腸と免疫は関係する。でも「腸=免疫の司令塔」と単純ではない

腸と免疫の関係も、近年よく注目されるテーマです。

腸管は、食べものだけでなく、非常に多くの微生物や外来物質と接する場所。

そのため腸には多くの免疫細胞が存在し、腸内細菌や、腸内細菌がつくる代謝物と免疫との相互作用について盛んに研究されています。

代表的なのが、食物繊維などを腸内細菌が発酵することでつくられる、酢酸・プロピオン酸・酪酸などの短鎖脂肪酸です。

短鎖脂肪酸は腸管上皮のバリア機能や、さまざまな免疫細胞の働きに関わることが報告されています。[7]

ただし、

「特定の食品を食べれば免疫力が上がる」
「腸内環境を整えれば病気にならない」

というほど単純ではありません。

腸内細菌は人によって異なり、食事だけでなく、生活環境や薬剤などさまざまな要因の影響を受けます。

まずは特定の食品だけに頼るのではなく、いろいろな食品を無理なく取り入れることから考えたいですね。


④ 夏の紫外線は「免疫にも関係する」

紫外線というと、シミや日焼けなど美容面を思い浮かべる方が多いかもしれません。

しかし紫外線は、皮膚の免疫反応にも影響します。

環境省の「紫外線環境保健マニュアル」でも、紫外線を浴びすぎることで日焼けや光老化などが起こるほか、免疫反応を抑制する作用があることが説明されています。[8]

一方で、紫外線には皮膚でビタミンDをつくる働きもあります。

そのため、「紫外線はすべて悪い」という話でもありません。

大切なのは、強い紫外線を長時間浴び続けないことです。

夏のポイント

  • 日差しの強い時間帯の長時間の外出を避ける
  • 日傘や帽子、衣類を活用する
  • 日焼け止めを適切に使う
  • 紫外線対策と同時に、熱中症にも注意する

「美容のため」だけではなく、健康管理のひとつとして紫外線対策を考えてみてもよさそうです。


夏の体調管理で、まず意識したい4つのこと

ここまでをまとめると、夏に大切なのは特別な「免疫アップ法」ではありません。

1.暑さを我慢しない

エアコンなどを使い、暑熱ストレスを避ける。

2.水分をこまめにとる

汗をかく夏は、脱水にも注意する。

3.睡眠を削らない

寝室の温度・湿度も整えて、必要な睡眠時間を確保する。

4.食事を極端に偏らせない

食欲がない日も、主食・主菜・副菜をできる範囲で組み合わせる。

とても普通のことばかりですよね。

でも、免疫はさまざまな体の仕組みとつながっているからこそ、何かひとつの食品や成分で「強くする」ものではありません。

よく食べ、よく眠り、暑さから体を守る。

夏の体調管理では、まずそんな基本から見直してみるのがよさそうです。


夏と免疫について、よくある疑問

Q.夏になると免疫力は下がりますか?

夏だから誰もが一律に免疫機能が低下するとは言えません。

ただし、強い暑さ、脱水、睡眠不足、食欲低下など、夏に起こりやすい変化が身体への負担となり、免疫や炎症の調節にも影響する可能性があります。


Q.冷たい飲みものを飲むと免疫力が下がりますか?

この記事では、冷たい飲みものそのものを「免疫力低下の原因」とは考えていません。

暑い日は水分補給が重要です。温度にこだわりすぎず、自分が無理なく飲める方法で適切に水分をとりましょう。

胃腸が不快になる場合には、一度に大量に飲むのを避けるなど、自分の体調に合わせて調整してください。


Q.冷房を使うと免疫力が下がりますか?

冷房そのものを避ける必要はありません。

むしろ猛暑時には、適切な冷房使用は熱中症を防ぐために重要です。

冷えを感じる場合は衣類などで調整しつつ、設定温度だけではなく実際の室温や湿度を確認しましょう。


Q.腸活をすると免疫力が上がりますか?

腸内細菌やその代謝物が免疫の調節に関わることは、多くの研究で示されています。

ただし、「この食品を食べれば免疫力が上がる」という単純なものではありません。

特定の食品だけに偏らず、日々の食事全体を整えることを基本に考えましょう。


Q.免疫のためにサプリメントは必要ですか?

栄養素が不足している場合には、それを補うことが重要になることがあります。

一方、健康な人が特定の成分を多く摂れば、その分だけ「免疫力が高くなる」とは限りません。

サプリメントは食事の代わりではなく、必要に応じて不足を補うものとして考えるのが基本です。


まとめ

「夏は免疫力が下がる」。

そう聞くと、何か特別なものを食べたり、「免疫力を上げる」対策を始めたくなるかもしれません。

でも、現在の研究を見ていくと、もう少し複雑です。

夏だから免疫が一律に弱くなるのではなく、暑さ・睡眠・食事・紫外線など、夏ならではの環境変化が重なることで体調がゆらぎやすくなる。

そんなふうに捉えるほうが、実際の体の仕組みには近そうです。

暑い日がまだまだ続きます。

無理にがんばるのではなく、涼しくして、食べて、眠る。

当たり前に見える習慣こそ、今年の夏も大切にしていきたいですね。


参考文献・参考資料

  1. World Health Organization. “Heat and health.” Updated 13 July 2026.
  2. Wang F, Lu C, Lei Y, Lei TH. Prolonged Humid Heat Triggers Systemic Inflammation and Stress Signaling: Fluid Intake Modulates NF-κB, p38, JNK2, and STAT3α Pathways. Int J Mol Sci. 2025;26(11):5114. doi:10.3390/ijms26115114.
  3. 環境省. 環境省熱中症予防情報サイト/熱中症環境保健マニュアル.
  4. Feuth T. Interactions between sleep, inflammation, immunity and infections: A narrative review. Immun Inflamm Dis. 2024;12(10). doi:10.1002/iid3.70046.
  5. 厚生労働省. 健康づくりのための睡眠ガイド2023.
  6. 厚生労働省・農林水産省. 食事バランスガイド.
  7. Ney LM, Wipplinger M, Grossmann M, et al. Short chain fatty acids: key regulators of the local and systemic immune response in inflammatory diseases and infections. Open Biol. 2023;13(3):230014. doi:10.1098/rsob.230014.
  8. 環境省. 紫外線環境保健マニュアル2020.

🌀 エアコンと猛暑の“寒暖差”で、自律神経がゆらぐ

屋外では35℃超の猛暑、室内は冷房でひんやり。
この気温差に体がついていけず、自律神経が乱れやすくなります。
自律神経は、体温調節や内臓の働き、免疫バランスまでをコントロールしている大切な仕組み。
乱れてしまうと、免疫力も落ち込みやすくなるのです。
また、エアコンの効いた室内での密閉・換気不足・マスクの着用状況などが感染リスクを高めた可能性があるとも言われています。こまめな換気も大切です。

\ケアのポイント/

  • 冷房の温度は26〜28℃を目安に
  • 外出時は、薄手の羽織やストールを活用
  • 帰宅後すぐの冷たいシャワーは控え、ぬるめのお風呂で体を整えて

🍦 冷たい飲みもの・食欲低下で、腸の元気がダウン

冷たいジュースやアイスをとりすぎたり、暑さで食欲が落ちてしまうと、消化の働きが弱まり、腸内環境が乱れがちに。
腸は“免疫の司令塔”とも言われており、腸が整っているかどうかは免疫の強さと直結しています。

\ケアのポイント/

  • 冷たいものは一度にとりすぎず、常温や温かい飲みものも意識して
  • 発酵食品(ヨーグルト・味噌・ぬか漬けなど)を日々の食事に
  • 食欲がないときは、具だくさんのお味噌汁やスープからでもOK
  • ビタミンC、E、β‑カロテン、亜鉛などを含む食材やサプリで栄養バランスをサポート

🌙 寝苦しさからくる“夏の睡眠不足”

熱帯夜が続くと、どうしても寝つきが悪くなり、眠りが浅くなりがち。
でも、私たちの体は眠っているあいだに免疫細胞を回復・強化しています。
寝不足が続くと、そのはたらきが弱まり、感染症にもかかりやすくなってしまいます。

\ケアのポイント/

  • 寝る1時間前にはスマホを手放して
  • 冷感寝具や除湿機で快適な睡眠環境づくり
  • どうしても眠れない日は、昼に20分ほどの仮眠もおすすめ

☀️ 紫外線ダメージが、じつは体力をうばっている

夏の強い紫外線は、お肌だけでなく、体全体にダメージを与えます。
UVを浴びすぎると、体内で「酸化ストレス」や「炎症」が起きやすくなり、免疫細胞にも負担がかかることがわかっています。
とくに日焼けを繰り返していると、肌のバリア機能も低下して、外からの刺激に敏感になることも。
日焼けをすると体内に熱がこもりやすく、熱中症になりやすいことにも注意。

\ケアのポイント/

  • 日焼け止めは「汗・皮脂で落ちやすい部位」にこまめに塗り直しを
  • 帽子や日傘、アームカバーも取り入れて
  • 抗酸化ケアには、ビタミンCやポリフェノールなどの栄養素もおすすめ

💡 まとめ:夏の「ゆらぎ」から体を守ろう

夏バテに似た不調も、じつは免疫力のサインかもしれません。
今年は猛暑も続いていて、百日咳やコロナなどの感染症も再び広がっています。

だからこそ、
「よく寝る・よく食べる・冷やしすぎない」
この3つを大切に、少しずつ日々の習慣を見直していきましょう。
からだの内側から整えるサポートとして、サプリメントや発酵食品も心強い味方です。

免疫については、こちらのフラコもご参考にお読みください。
👉️ また流行?!マスクを外した今、なぜ感染症が増えているの?


いろんなイベントが目白押しの夏🎐🎆
できるところからやってみましょう!



※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。

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