年齢を重ねると、肌のハリや体の疲れやすさが気になってきませんか?
そんな中で、いま美容と健康の両面から注目されているのが「ヒシ(トウビシ)」という植物です。
アジアでは昔から食材として親しまれてきたヒシ(Trapa bispinosa Roxb.)。
その実の硬い殻の内側には、でんぷん質の白い果肉が詰まっていますが、実はその外側の果皮にこそ、私たちの美と健康を支える貴重な成分がたっぷり含まれているのです。
抗酸化パワーの可能性秘めた新しい物質「トラパジンA」
2023年の研究では、ヒシの果皮から22種類もの抗酸化物質が確認されました(※1)。中でも注目されたのが、新たに発見された成分「トラパジンA(Trapadin A)」です。
このトラパジンAは、すでに強力な抗酸化力で知れ、フラコでも紹介した「ガリル酸(Gallic acid)」を上回る抗酸化作用を持つことが明らかになりました。抗酸化とは、体内で発生する酸化ストレスを抑える力のこと。
つまり、紫外線やストレスによる「肌のくすみ」や「老化ダメージ」に対して、細胞レベルで守る力が期待されているのです。
ウロリチンAの筋力改善機能
もうひとつ、ヒシから検出されている注目成分が「ウロリチンA(Urolithin A)」です。
これは、ザクロやラズベリー、クルミなどに含まれる「エラグ酸」が腸内細菌によって変換されてできる代謝物で、ミトコンドリアの働きを高めることで知られています。
ウロリチンAは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の監督下で複数の臨床試験行われています。特に顕著な効果として、40〜65歳の中年層を対象に、ウロリチンA(500〜1000 mg/日)を4か月摂取した結果、脚の筋力が約10〜12%アップし、最大酸素摂取量も約10%改善。持久力の目安となる「6分間歩行距離」も約7%延びたと報告されています(※2)

ヒシが秘める、美と健康の未来
これまでも「ヒシ」は健康食品として食されてきました。
その理由を示すように、最新研究で、その果皮にはこれまで知られていなかった美と健康の鍵となる成分が眠っていることが分かってきました。
特に、トラパジンAは発見されたばかりの物質ですので、これからの進展が楽しみですね。
ヒシは、年齢を重ねても自分らしく美しく、自信を持って生きたい人の、これからの「インナービューティ成分」として大きな可能性を秘めています。九州では古くからヒシの実を煎じた「ヒシ茶」が親しまれ、最近では手軽に取り入れやすいサプリメントも増えてきました。
忙しい日でも、まずはお茶を一杯、あるいは自分に合ったサプリを選ぶといった小さな一歩から、ヒシを暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?
引用文献
- Uchikura, T., Miura, Y., Yoshimura, M., Ito, H., & Amakura, Y. (2023). Identification of Antioxidative Hydrolyzable Tannins in Water Chestnut. Molecules (Basel, Switzerland), 28(18), 6563. https://doi.org/10.3390/molecules28186563
- Faitg, J., D’Amico, D., Rinsch, C., & Singh, A. (2024). Mitophagy Activation by Urolithin A to Target Muscle Aging. Calcified tissue international, 114(1), 53–59. https://doi.org/10.1007/s00223-023-01145-5
※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。
