2025年の春。百日咳引用1が全国各地で流行しています。7月になってもおさまる気配がありません。
「もうマスクなしの生活に慣れてきたのに…」
「ただの風邪だと思っていたのに、もう2週間以上…」
そんな声も多く聞かれるようになりました。
今回はこの “感染しやすさ” について解説していきたいと思います。
コロナ禍が加わった「免疫力」への影響と現代の生活構造
実は今の私たちの体は、ウイルスや菌と“適度につきあう機会”が減っていた可能性があります。
コロナ禍で続いた長期間のマスク生活や過剰な消毒習慣により、 ”軽い感染” を経験するチャンスが失われ、免疫が学習・強化される機会が少なくなっていたと考えられています。免疫は使われることで育つ“トレーニング型”のシステム。経験が不足すると、いざというときにうまく働きにくくなることもあります。
とくに子どもたちは昔に比べて成長期に自然感染を経験することが少なくなり、免疫の成熟に影響が出ている可能性も指摘されています。
さらに現代人の生活は、運動不足、睡眠の質の低下、慢性的なストレス、偏った食生活など、免疫バランスを崩しやすい要因に囲まれています。感染症と共に生きるこれからの時代、「手洗い・換気」といった基本的な対策に加え、自分自身の内側——つまり免疫環境を整える視点が、ますます大切になっているのです引用2。
「免疫力が高い」ってどういうこと?
「免疫力を高めよう!」という言葉、よく見聞きしますよね。
でも実は、“免疫力”というのはひとつの数値で測れるものではなく、体の中にあるさまざまな「防御システム」の総称なんです。
私たちの体には、
- 外敵(ウイルスや細菌など)、異常になった自分の細胞を排除する「自然免疫」
- 一度出会った敵を記憶し、次に備える「獲得免疫」
の2つが備わっていて、
これらがバランスよく働いている状態こそが、“免疫が整っている”と言える状態です。
そう、この ”整っている” という表現がとても重要。免疫力は「高ければいい」と思われがちですが、実はそれも誤解のひとつ。
たとえば、
- 花粉症やアレルギーは、免疫が“過剰に反応”して起きるもの。
- 自己免疫疾患は、本来攻撃しないはずの“自分の細胞”を攻撃してしまう状態。
つまり、免疫力は 強すぎず 弱すぎず 「過不足なく働くこと」が大切なのです。

免疫と密接につながる“腸・睡眠・ストレス”
♢ 腸内環境
腸には全身の免疫細胞の約70%が存在し、腸内フローラのバランスが免疫の初動に大きく関与します。
発酵食品や乳酸菌・ビフィズス菌の摂取で腸内フローラのバランスを整うことは有名ですよね。
夏バテによる食欲不振も栄養不足につながるので注意が必要です。
♢ 睡眠と体内時計
寝不足により、自然免疫に重要なナチュラルキラー細胞(NK細胞)の機能が落ちることが知られています引用3。
さらに資生堂さんの研究では、免疫機能など体内状態が良好な人は、睡眠の乱れによる肌への影響を受けにくいとの研究成果もあり、睡眠-免疫-肌の関係も明らかになりつつあります引用4。
夏の暑さなど、寝苦しい日が続くことも免疫低下につながるといわれています。
♢ ストレスと免疫抑制
慢性的なストレスは、コルチゾールの分泌を増やし、免疫系を抑制します引用5。
趣味や休息によるリフレッシュや、お気に入りのルーティーンによるリラックスで心身のバランスを保つことも、免疫にとっては大切なことです。
家でできる、今日から始める免疫ケア
完全に感染を避けるのではなく、感染しても軽く済ませる体をつくる。
「感染をゼロにする」より、「重くしない・早く回復する」ことが “現実的な感染対策” です。
🛏 睡眠の質を高める
- 寝る前1時間はスマホを見ない
- 湯船でリラックス&深部体温調整
- トリプトファンやグリシンで深い眠りをサポート
🍽 腸内環境を整える食事
- 発酵食品(納豆、キムチ、ヨーグルトなど)
- 食物繊維(海藻・豆・野菜)
- 腸活系サプリメントで継続的なケア
🚶♀️ 軽い運動+日光浴
- 散歩・ストレッチでもOK
- 太陽を浴びて体内時計リセット & ビタミンD合成→免疫活性をサポート
🧘♀️ ストレスケアを“習慣化”する
- 深呼吸・瞑想
- アロマ・音楽・あたたかい飲み物などでリセット
- 「5分没頭できる時間」を持つ
🫙 自分にあったサプリメントを味方にする
日常のケアに加えて、
- 乳酸菌・発酵由来成分など→腸ケア
- ビタミンC・D・亜鉛など→防御力サポート
- トリプトファン・グリシンなど→睡眠サポート
- ビタミンC・GABAなど→ストレスケア
など、科学的な裏付けのある成分を取り入れるのも一つの方法です。
ただし、無理せず、ご自身に合った “継続できる選択” を。
サプリの飲み方や薬との違いなどについては、ぜひ過去の記事もお読みになってください。

このように新しい生活スタイルやコロナ禍の影響で、感染症が蔓延しやすい現代社会。
感染症を完全に避けることはできなくても、日々の整え方で重症化を防ぐことはできます。
- 食事で整える
- 眠りで休める
- 気持ちをゆるめる
- 科学を味方につける
感染症と共に生きる時代、私たちが目指すのは“ゼロリスク”ではなく、
不安に振り回されずに、自分らしく過ごせる毎日。
軽やかで素敵な毎日のために、ご自身もまわりの方も大切に過ごしていきたいですね。
以上、める子でした!

※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。
引用文献
- JIHS. 百日咳の発生状況について. 2025年4月22日時点
- 第一三共ヘルスケア. 気を付けたい感染症とその対策. くすりと健康の情報局
- Irwin M, Mascovich A, Gillin JC, Willoughby R, Pike J, Smith TL. Partial sleep deprivation reduces natural killer cell activity in humans. Psychosom Med. 1994;56(6):493-498. doi:10.1097/00006842-199411000-00004
- (株)資生堂. 資生堂、免疫機能が整っている人の肌は 睡眠の乱れによる影響を受けにくいことを発見. 2023.
- 厚生労働省「セルフメンタルヘルス」資料
