忍び寄る老化の犯人!? 今、注目される「糖化ストレス」の正体とは

肌のくすみが取れない、なんとなく疲れが抜けない、最近もの忘れが多い……。
それ、もしかすると「糖化ストレス」が関係しているかもしれません。

近年、美容や健康、さらには認知機能の老化にまで深く関係する「糖化ストレス」が、国内外の研究者たちから注目を集めています。
でも、「酸化ストレスは聞いたことあるけど、糖化ストレスって何?」という方も多いはず。

今回は、2025年Nature誌に掲載された、日本の研究チームが中心となった広告記事「The little-known metabolic process linked to aging引用1 (日本語版)引用2をベースに、最新研究にもとづく糖化ストレスの正体とその対策について、わかりやすくご紹介します。詳細が気になる方は、リンク先の原文もお読みください。

日々の食事や習慣を少し変えるだけで、10年後の自分に差がつくかもしれません。

  見過ごされがちな「糖化ストレス」が、じつは老化のカギ?

老化の原因といえば「酸化 (さんか) ストレス」が有名ですが、近年急速に注目されているのが「糖化 (とうか) ストレス」です。

糖化ストレスとは、体内の余分な糖や脂肪がアルデヒド と呼ばれる物質に変化し、このアルデヒドがタンパク質と結びつき、体内で“劣化タンパク質”である AGEs(終末糖化産物)を生み出してしまう現象のこと。これらのAGEsは体の中に蓄積され、細胞の働きを鈍らせたり、炎症を起こしたりすると考えられています。酸化による老化を「体のサビ」というのに対し、糖化によるものは「体のコゲ」と表現されます。

このタンパク質を劣化させてしまうのという現象は酸化と非常によく似ています。酸化が老化の原因となるのは、活性酸素がタンパク質を酸化し、劣化タンパク質が発生してしまうことが原因です。

片方は酸素、そしてもう片方はアルデヒド。エイジングケアはどちらにも備える必要がありそうです。

このアルデヒドは本来、NAD⁺という分子の助けで分解されますが、NAD⁺が足りなくなると処理が追いつかなくなり、エネルギーを作るミトコンドリアの働きにも影響が出ます。その結果、連鎖的に酵素のはたらきも弱まり、さらにアルデヒドの分解が進まなくなるという“悪循環”に。(NAD⁺はNMNの摂取により補うことができます。)

糖化ストレスは、体内のバランスを崩しながら、じわじわと老化や不調を引き起こす原因になると考えられています。

特に気になるのが、「肌」や「脳」への影響。

AGEsは、肌のくすみやシワの一因になるだけでなく、脳内の“お掃除役”であるミクログリアの働きを妨げ、アルツハイマー病の原因物質 アミロイドβ の除去を難しくする可能性も示唆されています。

さらに最近の研究では、糖化ストレスが脂肪細胞のホルモン分泌にも影響することがわかってきました。たとえば、血糖や脂質のバランスを整える「アディポネクチン」というホルモンが、糖化により分泌されにくくなる可能性があるそうです。これが、肥満や代謝異常の背景になっているかもしれません。

  生活習慣がカギ。糖化ストレスは防げる?

糖化ストレスは、紫外線や排気ガスなどの環境要因が影響する「酸化ストレス」とは異なり、食事や運動など日々の生活習慣と深く関係しています

たとえば「白米から玄米への置き換え」という方法で糖化ストレス対策に乗り出しているプロジェクトもあります。
「次世代エイド」引用34と呼ばれる、国内の研究チーム・財団・自治体が連携して取り組むプロジェクトで、幹細胞が活発な胎児期からの対策を行い、生涯にわたって糖化ストレスを抑えることを目的としています。
妊婦への加工玄米の提供や、学校給食への導入を目指し、すでに6自治体と協定を締結。玄米に含まれる栄養素は血糖値の急上昇を抑え、AGEsの生成を防ぐ可能性があると期待されています。

  今日からできる、糖化ストレス対策3選

  1. 食事を見直す
     糖質や脂質の多い食事は、AGEsを増やす原因に。食物繊維が豊富な玄米や野菜を積極的にとりましょう。
  2. 軽い運動を日常に
     運動により、血糖値のコントロールがしやすくなり、AGEsの蓄積を防ぐ効果が期待されます。
  3. サプリでサポート
     すべてを食事だけでカバーするのは難しいもの。AGEsの生成を抑える素材を活用したサプリメントも、賢く選べば味方になります。

  おわりに

「糖化ストレス」は、気づかないうちにじわじわと私たちの体に影響を与えています。でも逆にいえば、気づいたときがチャンス。食事や生活習慣を見直すことで、10年後の自分の肌や健康に、大きな差が生まれるかもしれません。

最近の米不足のニュースを機に、玄米を取り入れてみるのもひとつのきっかけになりそうですね。

※ 注意
本記事はあくまで情報提供を目的としたものであり、医学的なアドバイスではありません。
健康上の問題のある方は、必ず医療専門家にご相談ください。

  引用文献

  1. The little-known metabolic process linked to ageing. Nature Portfolio. 2025. Focal Point on Ageing in Japan
  2. ほとんど認識されていないが加齢に関連している代謝過程. 2025. (上記1. の日本語版) (※ 糖化ストレス研究会の許可を得て転載しております。)
  3. 医食同源生薬研究財団. コメの継続摂取により「新生児の体重増加」「妊産婦の体調不良軽減」を示唆 ~泉大津市マタニティ応援プロジェクトにおける検証結果レポート①~
  4. 医食同源生薬研究財団. 【宮古島次世代エイド】 宮古地区から産・官・学連携で肥満児問題の解決を目指す! 沖縄県宮古島市に在住する若年層の健康増進等に関する 取り組みについて

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